中川研究室

UEC/ILS 原子光学グループ             

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研究紹介

原子を絶対零度近くの100万分の1度以下の極低温に冷却すると多数の原子が全てエネルギーが一番低い基底状態に落ち込むいわゆるボース・アインシュタイン凝縮(Bose-Einstein Condensation:BEC)が実現されます。このような凝縮原子はレーザー光のように位相が揃った物質波として振る舞うため、このような物質波を光と同様に操作して回折や干渉を起こす研究は原子光学と呼ばれています。

BEC  

シリコン基板上に作成した微細電線パターンを用いて電子の代わりに極低温原子を基板上で操作するアトムチップと呼ばれる技術が注目されており、高感度なセンサーや量子情報処理への応用が期待されています。このアトムチップを用いるとまたボース凝縮原子を高効率・高速に生成することも可能となります。

極低温原子を物質波として用いることにより光と同様の干渉計を原子を用いて実現することができ、これは原子干渉計と呼ばれています。この原子干渉計は様々な物理量の精密計測に応用することができ、ジャイロスコープや重力加速度計への応用が期待されています。

ボース凝縮原子に光定在波を入射すると原子は光の回折格子によって様々な運動量成分に回折されます。この光定在波によるボース凝縮原子の回折を用いることにより様々な量子力学の問題を原子で実演することができます。

  レーザー光を用いることにより原子1個を安定に捕捉(トラップ)してこの運動および内部状態を操作し、またこれを観測することが可能となります。このような単一原子は量子ビットとして用いて量子コンピューターなどの量子情報処理に応用することが期待されています。また高い励起状態であるリドベルグ(Rydberg)状態の原子を用いることにより量子コンピューターの実現に必要な複数の原子の間の量子力学的な相関が実現可能となります。

  • 周波数安定化レーザーとその応用

レーザーの周波数を原子・分子の吸収線を基準として安定化した周波数安定化レーザーは波長や光周波数の高精度な基準として重要です。