研究内容

当研究室では、量子力学的に特異な性質を持つ光と物質との相互作用を扱う、 共振器量子電気力学(Cavity QED)という分野の研究を行っています。 特に、レーザー冷却された気体原子(数十 μK)を光共振器中に閉じ込めることで原子と光の強い相互作用を引き起こし、

という二つのアプローチで、光と原子の量子状態制御を基盤とした新たな量子技術の創出を目指した研究に取り組んでいます。

微弱光による少数光子非線形光学効果の観測 〜光子による光子の制御〜

次世代の通信技術として期待される量子情報通信においては、光子が唯一の実用的な通信媒体であると考えられています。 光子で別の光子を直接制御できれば、光子により伝達された量子情報を効果的に処理することができるでしょう。 しかしながら、このような光子同士の直接的な相互作用は原理的に起こすことができません。 そこで、物質を介して光子同士の実効的な相互作用を起こすことが考えられますが、そのためには、まず光子によって物質の光学特性に有意な変化を引き起こさなければなりません。 通常の物質ではこのような変化を引き起こす(非線形光学効果を観測する)には高強度の光が必要であり、単一の光子ではほぼ不可能です。 当研究室では、非常に反射率の高い鏡を利用した光共振器中における物質と光子との強い相互作用を利用して、数光子程度の微弱光による非線形光学効果の観測および、 同効果を利用した様々な量子デバイスの実現を目指しています。

原子冷却のための超高真空装置

光共振器中の低温原子を用いた「量子光源」開発

量子力学の性質を利用した従来技術の限界打破への期待が高まる量子情報処理や量子計測においては、光の量子状態を自在に生成できることが 鍵となります。 当研究室では、レーザー光により数十μK程度にまで冷却され、光共振器中に捕捉された原子集団を用いて、 光子数状態や量子もつれ状態を含む様々な光の量子状態を単一の実験系において生成することのできる「量子光源」の実現を目指しています。

リュードベリ励起用レーザー