招待講演

 概要

毎年、講師の先生をお招きして最先端の研究や、基礎的な内容や普段接することのない分野の解説などを 行っていただいております。講師は毎年、実行委員会よりお願いさせていただいております。 本年度は最先端のレーザー装置の開発とその応用を研究されている3人の先生方に声を掛けさせていただきました。 世界最先端の研究内容を学生にも分かりやすくお話し頂けるようお願いしております。
時間 90分 (質疑応答の10分を含みます)

  西澤 典彦 教授 「超短パルスファイバレーザー技術の進展と応用展開」

  名古屋大学大学院 工学研究科 量子光学専攻
内容
  理想的な導波路である光ファイバで構成したファイバレーザー は,安定でメンテナンスフリーな実用的なレーザーとして注目を集めている.ナノカーボンデバイスを用いた受動モード同期超短パルス ファイバレーザーの研究が進み,また,特殊ファイバによる広帯域化も広がってきた.これらの光源は,光計測に極めて有用である.本講 演では,超短パルスファイバレーザーの進展とその高機能化,そして光計測等への応用について,基礎から最近の進展までを筆者らの研究 を中心に分かりやすく概説する.

西澤研究室HP

西澤教授

  小林 洋平 准教授 「夢を切り拓くレーザー」

  東京大学物性研究所 附属極限コヒーレント光科学研究センター
内容
レーザーがあれば何でもできる、をモットーにレーザー開発を続けて20年。実に様々な応用が見えてきています。量子電磁気学はどこまで正しいかを検証する超精密分光、次世代の時間標準を担う光原子時計、超伝導解明のための物質の電子状態測定、系外惑星探索用超小型レーザー、超精密超高速分光用デュアル光周波数コム、呼気診断に向けた中赤外光周波数コム、などサイエンス応用でもこれだけあります。レーザーは産業でも大活躍しており、その中でも次世代半導体リソグラフィー用深紫外レーザーや、レーザー加工学理解明に向けたレーザーは最近のトピックです。特にレーザー加工は光と物質との究極の相互作用であり、極度に非線形、非平衡、解放系であるため、物理としては難解すぎて理解されていない分野です。物理としてもチャレンジングであり、実際に世の中にすぐに役に立つ研究としてモデルケースとなり得ます。当日はこれらの紹介と今後の展望について述べます。

小林研究室HP

小林准教授

  美濃島 薫 教授 「光コムによる光波の超精密制御が拓く科学技術」

 電気通信大学 情報理工学研究科 基盤理工学専攻
内容
  多数の等間隔な光周波数モード列である光コム(光の櫛、「光周波数コム」)は、人類が手にした最も精密なものさしと呼ばれている。しかし、光コムは単なる「周波数のものさし」に留まらず、光技術とエレクトロニクスの垣根を取り払い、光波の位相レベルの制御技術を革命的に進展させ、圧倒的な精密さとダイナミックレンジを両立させるツールである。近年、その応用は、分光、バイオ、天文など、広範な分野に急速に広がっている。本講演では、光コムの基礎と、光ファイバを用いた光コムの発生とその応用についての研究を紹介する。

美濃島研究室HP

美濃島教授